友、逝く
コロナで見合わせていた帰京をようやく遂行。
各地で感染者が急増する中だけど、対面で打ち合わせ
しなけりゃどうにもならないことも多く、春から8ヶ月強も
戻れていないので、もう待ったなしで強行。
で、さて明日には戻るぞー、と、準備をしていたところに
担当さんから一本の電話。
てっきり、〆切か、打ち合わせの件だと思いきや……。
「石坂さん、ご存じですか?」
「知るも知らんも、30年来のダチやがな~」
「そうですか。石坂さん、亡くなったそうです」
聞いた瞬間、絶句し、すぐ「嘘やろ~」と言ってしまった。
石坂とは、わしがまだデビューする前からの付き合いで、
今年、一緒に仕事をすることになってた。
コロナのせいで打ち合わせができず、延び延びになって
しまっていたが、今回の帰京で打ち合わせする予定だった。
が……。
同じく、石坂と仕事をすることになっていた人に連絡を取って
確かめてもらったら、22日に癌で亡くなったという。
石坂が、肝細胞癌の治療をしていたことは知っていた。
本人も、大好きだった酒もタバコもやめ、真面目に治療に
取り組んでいた。
具合は良くはなかったものの、小康状態で過ごしていた
姿しか思い浮かばない。
それが、本当に突然に……。
個人的に、あまり人の生死に気持ちを揺さぶられることは
ないんだけど、今回はじわりときた。
石坂とは、若い頃は毎日のように飲み歩いていて、専業になって
からは、公私共にいろいろ気にかけてくれた。
同い年なので、わしのダチも含めて、沖縄で遊んだりもした。
なんか、ヤツとの想い出はあまりに多すぎて、語りきれない。
石坂とは、ずっと話してたことがある。
「いつか、わしらのヒーロー、作ろうで」
お互い、この業界で生き残って、ようやくその機会が巡ってきた
矢先の死だった。
わしがたらたらしてたので、間に合わずに申し訳ないという
気持ちと、もうちっと待ってくれや~という気持ちと。
今も、なんとなく実感ないまま、悶々としてる。
今度、石坂も同席するはずだった打ち合わせがある。
その場にヤツがいないのを確かめて、実感するのかなとも思う。
いろいろ衝突もしたけど、歳食って、いろんなことがあったでなあ
と語り合いたいヤツだった。
まだ、ご冥福を……と言う気になれないから、言わないけど。
いつかは、きちんと心の中で送ってやりたいと思う。
| 固定リンク